【2026年最新版】飲食業に求められる税理士のスキルとは?注意点は?
- 2026.09.07
- 税金・法律
飲食店を経営するうえで、税理士は単に確定申告や決算書の作成を依頼するだけの存在ではありません。
飲食業は、一般的な業種と比べても売上や仕入、食材のロス、人件費、店舗家賃、設備投資など、日々のお金の動きが非常に多い業界です。
さらに、店舗の開業や多店舗展開、法人化、融資、資金繰り、事業承継など、経営を続けていくうえで税務・会計に関するさまざまな判断が必要になります。
そのため、「税理士なら誰に依頼しても同じ」と考えるのではなく、飲食業の事情を理解し、飲食店特有の税務や経営課題に対応できる税理士を選ぶことが重要です。
特に飲食店では、売上規模だけを見るのではなく、原価率や人件費率、家賃などの固定費、店舗ごとの収益性まで考えながら経営する必要があります。
では、飲食業に強い税理士には、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。
ここでは、飲食業の税理士選びで確認しておきたい知識や経験、依頼する際の注意点について詳しく解説します。
- 1. 飲食業はなぜ税理士選びが重要なのか
- 2. 飲食業に強い税理士に必要なスキルとは
- 3. 飲食業を「専門分野」として掲げている
- 4. 飲食店の開業支援に強い
- 5. 創業融資や金融機関への対応をサポートできる
- 6. 多店舗展開や店舗別の損益管理に対応できる
- 7. 売上だけではなくキャッシュフローを考えられる
- 8. 節税だけを目的にしない
- 9. 飲食業の最新の税制や制度を把握している
- 10. 法人化について相談できる
- 11. 事業承継やM&Aまで見据えている
- 12. 飲食業に強い税理士を選ぶ際の注意点
- 13. 飲食店の規模によって必要な税理士は変わる
- 14. 飲食業では税理士以外の専門家との連携も重要
- 15. 面談では具体的な質問をしてみよう
- 16. まとめ
飲食業はなぜ税理士選びが重要なのか
飲食業は、一見すると「売上から仕入や経費を引いて利益を計算する」というシンプルなビジネスに見えるかもしれません。
しかし、実際には飲食店ならではの会計処理や経営上の問題が数多く存在します。
例えば、
- 食材や飲料の仕入管理
- 食材ロスや廃棄の管理
- 店舗ごとの売上管理
- 人件費やアルバイト給与の管理
- 家賃や保証金などの店舗関連費用
- 厨房設備や内装などの設備投資
- クレジットカード・電子決済などの売上管理
- 多店舗展開時の店舗別損益管理
など、一般的な企業とは異なる論点が出てきます。
また、飲食店は「売上があるから儲かっている」とは限りません。
売上が増えていても仕入原価や人件費が増えていれば利益が残らないことがありますし、利益が出ていても設備投資や借入金の返済によって手元資金が少なくなることもあります。
そのため、飲食業に詳しい税理士には、税金を計算するだけではなく、飲食店の利益構造やキャッシュフローまで理解することが求められます。
飲食業に強い税理士に必要なスキルとは
では、実際にどのような知識や経験を持った税理士が飲食業に向いているのでしょうか。
飲食店特有の会計・税務を理解している
まず重要なのが、飲食業の売上や経費の特徴を理解していることです。
飲食店では、現金、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など、複数の決済方法を利用するケースがあります。
また、売上が日々発生するため、レジやPOSシステムの売上データと実際の入金額を適切に管理しなければなりません。
さらに、食材の仕入についても、仕入先が複数に分かれていたり、現金仕入れと掛け仕入れが混在したりすることがあります。
こうした飲食店特有の取引を理解している税理士であれば、単純に通帳や領収書の数字を処理するだけではなく、店舗の実際のお金の流れを踏まえた会計管理ができます。
消費税に詳しい
飲食業では、消費税についても注意が必要です。
店内飲食、テイクアウト、デリバリー、物販など、提供する商品やサービスの形態によって税務上の取り扱いが異なる場合があります。
また、インボイス制度への対応や、取引先との請求・仕入に関する処理など、消費税に関係する実務も発生します。
飲食店では取引件数が多くなるため、一つひとつの取引を適切に処理することが重要です。
そのため、飲食業における消費税の仕組みや日々の実務を理解している税理士を選ぶことが大切です。
特に、テイクアウトやデリバリー、食品販売など複数の収益方法を取り入れている店舗では、事業内容を正しく理解したうえで相談できる税理士が望ましいでしょう。
飲食店の原価率を理解している
飲食業では、売上だけでなく原価率の管理が非常に重要です。
同じ1,000万円の売上があったとしても、食材などの原価が300万円の店と500万円の店では、当然ながら残る利益が大きく異なります。
また、原価率が高すぎる理由についても、
- 仕入価格が高い
- メニュー価格が適切でない
- 食材ロスが多い
- 仕込み量が過剰
- 在庫管理が十分でない
など、さまざまな原因が考えられます。
税理士が単なる申告業務だけではなく、月次の数字を分析してくれるのであれば、原価率の変化から経営上の問題を把握できる場合があります。
つまり、飲食業に強い税理士には、決算書を見るだけでなく、飲食店の経営指標を理解する能力も求められます。
人件費や人材コストについて理解している
飲食店では、食材費と並んで人件費も大きなコストになります。
社員だけではなく、アルバイトやパートを多く雇用する店舗では、シフトによって人件費が変動します。
売上が少ない時間帯にスタッフを多く配置してしまえば利益が圧迫されますし、逆に人手不足によってサービス品質が低下すれば、売上そのものに影響する可能性があります。
そのため、飲食業の税理士には、単純に給与を会計処理するだけではなく、人件費が店舗経営にどのような影響を与えているのかを理解することが求められます。
また、給与計算や社会保険などは税理士の業務範囲だけでは対応できない場合もあります。
その場合には、社会保険労務士など他の専門家と連携できる体制があると安心です。
飲食業を「専門分野」として掲げている
税理士を選ぶ際には、ホームページなどで飲食業を専門分野として扱っているかを確認してみましょう。
税理士は幅広い業種に対応できるように見えても、実際にはそれぞれに得意分野があります。
例えば、
- 飲食業・店舗ビジネスに強い
- 美容・サロン業に強い
- 医療・クリニックに強い
- 不動産業に強い
- IT・Web業界に強い
など、専門分野はさまざまです。
飲食業の場合は、単に「法人顧問をしています」という税理士よりも、飲食店の顧問先を多く持ち、店舗経営に関する相談実績がある税理士を選ぶとよいでしょう。
特に、飲食業では開業時から税理士に相談するケースも多いため、創業支援の経験があるかどうかも確認しておくと安心です。
飲食店の開業支援に強い
これから飲食店を開業する場合には、開業前から税理士へ相談することも重要です。
飲食店の開業には、店舗物件の契約、内装工事、厨房設備、什器、仕入、人材採用など、多額の初期費用が発生することがあります。
さらに、
「いくら自己資金を用意するのか」
「どの程度の融資を受けるのか」
「毎月いくら売上が必要なのか」
「家賃はいくらまでに抑えるべきなのか」
など、開業前に考えておきたいことも数多くあります。
飲食業に詳しい税理士であれば、過去の事例などを踏まえながら、事業計画や資金繰りについてアドバイスできる場合があります。
もちろん、税理士が事業の成功を保証できるわけではありません。
しかし、数字の面から開業計画を確認し、無理のない資金計画を作るための相談相手として税理士を活用することはできます。
創業融資や金融機関への対応をサポートできる
飲食店の開業では、金融機関から融資を受けるケースも少なくありません。
そのため、創業融資や資金調達について相談できる税理士を選ぶと、開業準備を進めるうえで役立つ場合があります。
例えば、
- 創業時の資金計画
- 売上予測の整理
- 経費の見積もり
- 資金繰り表の作成
- 金融機関へ提出する資料の準備
などについて、税理士に相談できることがあります。
特に飲食店は、開業直後に売上が安定しない可能性もあるため、税金だけではなく「何か月分の運転資金を確保しておくか」といった資金繰りの視点が重要になります。
そのため、開業後のキャッシュフローまで考えてくれる税理士を選ぶことが大切です。
多店舗展開や店舗別の損益管理に対応できる
1店舗の経営からスタートして、軌道に乗った後に2店舗、3店舗と出店を増やしていく飲食店もあります。
しかし、店舗数が増えるほど経営管理は難しくなります。
例えば、会社全体では利益が出ていても、実は1店舗だけ大きな赤字を出しているというケースも考えられます。
そのため、多店舗展開を行う場合には、
- 店舗ごとの売上
- 店舗ごとの原価
- 店舗ごとの人件費
- 店舗ごとの家賃
- 店舗ごとの利益
などを把握することが重要です。
飲食業に強い税理士であれば、こうした店舗別の数字を整理し、どの店舗が利益を生み出しているのかを確認できるような管理方法を提案してくれる場合があります。
「会社全体で黒字だから問題ない」と考えるのではなく、店舗ごとの採算まで見られる税理士であれば、多店舗展開を目指す経営者にとって心強い存在になるでしょう。
売上だけではなくキャッシュフローを考えられる
飲食店経営では、利益と現金が一致するとは限りません。
仕入代金や人件費、家賃、借入金の返済、設備投資など、さまざまな支出があります。
例えば、決算書上では利益が出ていても、店舗改装や厨房機器の購入などで多額の現金が出ていけば、手元資金が少なくなることがあります。
そのため、飲食業に強い税理士には、利益だけでなくキャッシュフローまで考えて経営をサポートする能力が求められます。
「税金をいくら払うか」という視点だけではなく、
「来月の支払いに問題はないか」
「次の出店資金を確保できるか」
「借入金を無理なく返済できるか」
といった点まで確認することが重要です。
節税だけを目的にしない
飲食店の経営者からすると、「できるだけ税金を減らしたい」と考えるのは自然なことです。
しかし、税金を減らすことだけを目的とした経営は注意が必要です。
例えば、必要性の低い設備や商品などを購入して経費を増やせば、その年の利益を抑えられる場合があります。
しかし、経費として支出した現金そのものが戻ってくるわけではありません。
そのため、飲食業では、
「税金がいくら減るか」ではなく、「税金を払った後に会社へいくら現金を残せるか」
という視点が非常に重要です。
優れた税理士であれば、単に節税方法を紹介するのではなく、今後の出店や設備投資、借入金返済、事業承継などまで考慮しながら判断することをサポートしてくれるでしょう。
飲食業の最新の税制や制度を把握している
税法や関連制度は、毎年のように改正されます。
飲食業では、消費税をはじめとして、設備投資、雇用、賃上げ、法人化など、さまざまな制度が関係する可能性があります。
また、国や自治体などによって、飲食店や中小企業を対象とした支援制度が実施されることもあります。
ただし、補助金や助成制度は、それぞれ対象者や申請時期、必要書類などが異なります。
そのため、「以前使えた制度だから今年も利用できる」と考えるのは危険です。
税理士に相談する際には、現在の税制や制度を踏まえて説明してくれるかも確認しておきましょう。
また、補助金申請そのものについては税理士以外の専門家が適している場合もあるため、必要に応じて行政書士や中小企業診断士などと連携できる事務所だと、より相談しやすくなります。
法人化について相談できる
個人事業として飲食店を始めた後、売上や利益が増えてくると法人化を検討する経営者もいます。
ただし、法人化にはメリットだけでなく、法人設立や維持にかかるコスト、事務負担などもあります。
そのため、
「利益が増えたから法人化する」
という単純な判断ではなく、将来の事業計画まで考えて検討する必要があります。
例えば、
- 今後さらに店舗数を増やしたい
- 従業員を増やしたい
- 金融機関からの融資を検討している
- 事業を家族や第三者に承継したい
- 将来的に会社を売却する可能性がある
など、経営者の目的によって判断材料が変わります。
飲食業の実績が豊富な税理士であれば、同様のケースを見てきた経験をもとに、法人化を検討する際の論点を整理してくれる可能性があります。
事業承継やM&Aまで見据えている
飲食店も、長く経営を続けていれば事業承継の問題が生じます。
親族や従業員に店舗や会社を引き継ぐ場合もあれば、第三者への事業譲渡やM&Aを検討するケースもあります。
特に複数の店舗を経営している場合には、
「誰に会社を引き継ぐのか」
「店舗をそのまま残すのか」
「一部店舗だけを売却するのか」
など、さまざまな選択肢が考えられます。
こうした場面では、税務や会計だけでなく、企業価値、株式、契約、従業員、借入金など多くの要素を検討する必要があります。
そのため、事業承継やM&Aの経験があり、弁護士やM&Aアドバイザーなどと連携できる税理士を選んでおくと、将来的な相談にも対応しやすくなります。
飲食業に強い税理士を選ぶ際の注意点
では、実際に税理士を探す場合には、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
「飲食業にも対応可能」だけで判断しない
税理士事務所のホームページに「飲食店も対応可能」と書かれていたとしても、それだけで飲食業を専門としているとは限りません。
確認したいのは、
- 飲食店の顧問先がどの程度あるか
- 開業支援の実績があるか
- 店舗経営に関する相談経験があるか
- 多店舗展開の支援経験があるか
- 飲食店の融資支援に対応しているか
など、具体的な経験です。
「対応できます」という言葉だけではなく、実際にどのような支援をしてきたのかを聞いてみるとよいでしょう。
「節税できます」という言葉だけに注目しない
税理士選びで「節税に強い」という点を重視する人もいます。
もちろん、適切な節税対策は重要です。
しかし、節税だけを前面に出している場合には注意が必要です。
税金を減らすことだけではなく、手元資金や借入金、店舗設備、人件費、今後の出店計画まで考えることが、飲食店経営では重要だからです。
「なぜこの方法が適しているのか」
「デメリットは何か」
「将来的にどんな影響があるのか」
まで説明してくれる税理士を選ぶようにしましょう。
担当者が飲食業に詳しいか確認する
税理士事務所の場合、ホームページでは「飲食業に強い」となっていても、実際の担当者が飲食業に詳しいとは限りません。
そのため、面談時には、
「実際に誰が担当するのか」
「これまで飲食店を何件くらい担当したか」
「開業支援の経験があるか」
などを確認しておくと安心です。
相談や報告の頻度を確認する
飲食店経営では、決算時だけ数字を見るのではなく、月次で売上や利益を確認することが重要です。
そのため、税理士との面談や報告がどのくらいの頻度で行われるのかも確認しておきましょう。
「年に一度決算書を見るだけ」という契約よりも、月次試算表などを利用して経営状況を継続的に確認できる体制のほうが、経営改善につなげやすい場合があります。
もちろん、必要なサポートの内容は店舗の規模や経営状況によって異なります。
飲食店の規模によって必要な税理士は変わる
一口に飲食業といっても、個人経営の小規模店舗と、複数店舗を展開する法人では、必要となる税理士のスキルが異なります。
例えば、個人経営の小さな飲食店であれば、
- 開業時の税務相談
- 確定申告
- 記帳サポート
- 消費税
- 資金繰り
などが中心になる場合があります。
一方、複数店舗を経営する企業では、
- 店舗別損益管理
- 法人税・消費税
- 資金調達
- 経営分析
- 人件費管理
- 多店舗展開の計画
- 事業承継・M&A
など、より高度なサポートが必要になることがあります。
そのため、「飲食業に強い税理士」というだけでなく、自社の規模や成長段階に合った税理士かどうかを考えることも重要です。
飲食業では税理士以外の専門家との連携も重要
飲食店経営では、税理士だけですべての問題を解決できるとは限りません。
例えば、給与や社会保険については社会保険労務士、契約書や法務問題については弁護士、許認可に関する問題では行政書士など、専門家の力が必要になることがあります。
そのため、税理士自身の知識だけでなく、必要に応じて他の専門家を紹介・連携できる体制があるかも重要です。
特に従業員数が増えたり、多店舗展開を始めたりすると、税務以外の問題も増えていきます。
飲食業の経営を長期的に考えるのであれば、専門家同士のネットワークを持つ税理士事務所を選ぶことも一つのポイントになります。
面談では具体的な質問をしてみよう
税理士事務所を比較するときは、ホームページだけで決めるのではなく、実際に面談してみることをおすすめします。
例えば、次のような質問をしてみるとよいでしょう。
- 飲食店の顧問実績はどのくらいあるか
- 飲食店の開業支援を行っているか
- 創業融資や資金調達をサポートできるか
- 月次で経営数字を確認してもらえるか
- 原価率や人件費などについて相談できるか
- 多店舗展開の支援経験があるか
- 法人化について相談できるか
- 事業承継やM&Aについて相談できるか
こうした質問に対して、具体的な経験や事例を交えながら説明してくれるかどうかを見ることで、その税理士が自社に合っているか判断しやすくなります。
まとめ
飲食業は、仕入、人件費、家賃、設備投資、決済手数料など、さまざまなコストが発生するうえ、日々の売上も細かく管理する必要があります。
さらに、開業、融資、法人化、多店舗展開、事業承継など、経営段階に応じてさまざまな税務・会計上の課題が出てきます。
そのため、飲食業の税理士を選ぶ際には、単純に税務申告ができるかどうかではなく、飲食店のビジネスモデルや利益構造、資金繰りまで理解しているかを確認することが重要です。
特に、消費税、原価率、人件費、店舗別損益、創業融資、法人化、事業承継などについて経験がある税理士であれば、飲食店経営を長期的にサポートしてもらいやすくなります。
また、「節税に強い」という点だけではなく、税金を払った後にいくら現金を残せるのか、今後の出店や設備投資をどう進めるのかといったキャッシュフローまで考えてくれる税理士を選ぶことも大切です。
飲食業では、税務と経営が密接につながっています。
だからこそ、単に申告書を作成してもらうだけではなく、店舗の数字を一緒に確認し、経営者の相談相手になってくれる税理士を探すことが、安定した店舗経営につながるでしょう。
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