甲状腺機能低下症とはどんな病気?原因や予防法、治療法について。
- 2024.06.07
- 健康・美容
甲状腺機能低下症は、首の前側にある「甲状腺」の働きが低下し、甲状腺ホルモンが十分に作られなくなる病気です。
甲状腺ホルモンは、体温の維持やエネルギー代謝、心臓や脳の働きなどに深く関わっています。そのため、ホルモンが不足すると全身の活動が鈍くなり、疲れやすさや体重増加、むくみなどさまざまな症状が現れます。
症状はゆっくり進行することが多く、単なる加齢やストレスによる不調と思い込んでしまうケースも少なくありません。しかし放置すると日常生活に支障をきたすこともあるため、正しい知識を持つことが大切です。
この記事では、甲状腺機能低下症の原因や症状、予防法、治療法について詳しく解説します。
甲状腺機能低下症の原因
甲状腺機能低下症にはさまざまな原因がありますが、日本では自己免疫疾患によるものが多いとされています。
橋本病(慢性甲状腺炎)
甲状腺機能低下症の代表的な原因が橋本病です。
橋本病は自己免疫疾患の一種で、本来であれば体を守るはずの免疫機能が誤って甲状腺を攻撃してしまいます。その結果、甲状腺組織が徐々に破壊され、十分な量のホルモンを作れなくなります。
特に女性に多く見られ、中高年以降に発症するケースも珍しくありません。
甲状腺の手術や放射線治療
甲状腺がんやバセドウ病などの治療によって甲状腺を切除した場合、ホルモンを作る能力が低下することがあります。
また、首周辺への放射線治療によって甲状腺機能が低下するケースもあります。
ヨウ素の過剰摂取
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となる栄養素ですが、過剰に摂取すると逆に甲状腺の働きを抑制することがあります。
日本人は海藻類を食べる機会が多く、通常の食生活で不足することはほとんどありません。そのため、健康のために昆布や昆布だしを大量摂取すると、かえって甲状腺機能へ悪影響を及ぼす可能性があります。
薬剤による影響
一部の薬剤には甲状腺機能へ影響を与えるものがあります。
長期間服用している薬がある場合は、定期的な検査によって甲状腺の状態を確認することが大切です。
甲状腺機能低下症の主な症状
甲状腺ホルモンが不足すると、全身の代謝が低下するためさまざまな症状が現れます。
- 疲れやすい
- 眠気が強くなる
- 体重が増えやすい
- 顔や手足がむくむ
- 寒がりになる
- 便秘になりやすい
- 肌が乾燥する
- 髪が抜けやすくなる
- 集中力や記憶力が低下する
- 脈拍が遅くなる
- 気分が落ち込みやすくなる
これらの症状は更年期障害や加齢による変化とも似ているため、病気だと気付かないまま過ごしてしまう方もいます。
以前よりも疲れやすくなった、太りやすくなった、むくみが取れないといった状態が続いている場合は、一度医療機関で相談してみることをおすすめします。
甲状腺機能低下症の検査と診断
甲状腺機能低下症は主に血液検査によって診断されます。
検査では甲状腺ホルモンであるFT3やFT4、さらに脳下垂体から分泌されるTSH(甲状腺刺激ホルモン)の数値を確認します。
一般的には甲状腺ホルモンが低下し、TSHが高くなっている場合に甲状腺機能低下症が疑われます。
必要に応じて超音波検査や自己抗体検査などが追加で行われることもあります。
甲状腺機能低下症の予防法
橋本病のような自己免疫疾患が原因の場合、完全な予防法は確立されていません。
しかし、日頃から健康管理を意識することで早期発見や重症化予防につなげることは可能です。
ヨウ素を摂り過ぎない
海藻類は健康に良いイメージがありますが、極端な摂取は甲状腺機能へ悪影響を及ぼすことがあります。
特定の食品やサプリメントに偏らず、バランスの良い食生活を心掛けることが重要です。
定期的に健康診断を受ける
甲状腺機能低下症は血液検査によって比較的早期に発見できます。
家族に甲状腺疾患の方がいる場合や、原因不明の疲労感が続く場合は定期的な検査を検討しましょう。
生活習慣を整える
十分な睡眠や適度な運動、栄養バランスの取れた食事は健康維持の基本です。
直接的な予防法ではありませんが、体調変化に気付きやすくなるというメリットがあります。
甲状腺機能低下症の治療法
甲状腺機能低下症の治療では、不足している甲状腺ホルモンを補うことが基本となります。
甲状腺ホルモン補充療法
最も一般的な治療法が甲状腺ホルモン製剤の服用です。
不足しているホルモンを補うことで代謝機能を正常な状態へ近づけ、症状の改善を目指します。
服用を開始してすぐに効果が現れるわけではありませんが、多くの場合は数週間から数か月かけて体調が改善していきます。
定期的な血液検査
治療中はホルモン値を確認するために定期的な血液検査が必要です。
薬の量が適切でなければ別の不調につながることもあるため、医師の指示に従って継続的に管理していきます。
原因疾患への対応
薬剤の影響や他の病気が原因となっている場合は、その原因に対する治療も並行して行われます。
甲状腺機能低下症を放置するリスク
症状が軽いうちは大きな問題がないように感じるかもしれませんが、放置するとさまざまなリスクがあります。
例えば、高コレステロール血症や動脈硬化の進行、心機能の低下などが起こる可能性があります。
さらに重症化すると「粘液水腫性昏睡」と呼ばれる命に関わる状態へ進行することもあります。
そのため、気になる症状がある場合は自己判断せず医療機関を受診することが大切です。
まとめ
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足によって全身の代謝が低下する病気です。代表的な原因には橋本病があり、疲れやすさや体重増加、むくみなどさまざまな症状が現れます。
症状が加齢やストレスによる不調と似ているため見逃されることもありますが、血液検査によって診断でき、適切な治療によって改善が期待できます。
原因不明の疲労感やむくみ、体重増加などが続く場合は、一度医療機関で相談してみましょう。
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