税務調査が来たらどうする?対象になりやすいケースと対応方法
- 2025.08.14
- 税金・法律

税務署から「税務調査に伺います」という連絡が来たら、多くの方が不安や緊張を覚えるのではないでしょうか。特に初めての経験であれば、「自分に何か問題があるのでは?」と心配する方も少なくありません。しかし、税務調査は必ずしも不正を疑われているから実施されるわけではなく、あくまで税務署が適正な納税状況を確認するために行うものです。この記事では、税務調査の基本、対象になりやすいケース、そして実際に調査が来た場合の適切な対応方法について解説します。
税務調査とは何か?
税務調査とは、税務署が納税者の申告内容を確認し、適正に税金が納められているかをチェックする手続きのことです。主に法人や個人事業主が対象となりますが、状況によっては給与所得者であっても副業や資産取引が原因で調査の対象になることがあります。
税務調査には大きく分けて「任意調査」と「強制調査(査察)」があります。強制調査は脱税などの重大な不正が疑われる場合に限られるため、通常は任意調査が行われます。任意調査では事前通知があり、納税者に準備の機会が与えられるのが特徴です。
税務調査の対象になりやすいケース
税務署は無作為に調査対象を決めるわけではなく、一定の基準やリスクがある納税者を重点的に選びます。対象になりやすい代表的なケースは以下の通りです。
- 売上や利益が急激に増加している場合
前年と比べて売上や利益が急増すると、申告の正確性を確認するために調査が入ることがあります。 - 経費計上が不自然に多い場合
業種に比べて経費が過剰に計上されていると、必要経費かどうかを確かめるために調査対象となりやすいです。 - 申告内容に不一致がある場合
例えば源泉徴収票の金額と申告書の記載が合わないなど、数字に矛盾があると調査が行われます。 - 無申告や申告漏れが疑われる場合
一定の売上や資産取引があるにもかかわらず申告がされていない場合、重点的に調査されます。 - 同業者と比較して異常値がある場合
同業他社と比べて利益率が極端に低い、または売上規模に対して納税額が少ないなどの場合は、税務署の関心を引きやすいです。
税務調査の流れ
実際に税務調査が行われる場合、一般的な流れは以下の通りです。
- 事前通知
通常は税務署から電話や書面で調査の日程調整があります。突然の訪問は稀で、原則として事前に連絡が来ます。 - 調査当日
税務署職員が事業所や自宅を訪問し、帳簿や領収書、契約書などを確認します。質問に対しては正確かつ冷静に答えることが重要です。 - 調査結果の説明
調査の結果、修正が必要と判断された場合は「指摘事項」として説明され、納税者が同意すれば修正申告を行います。 - 追徴課税の可能性
申告漏れや経費の否認があった場合、追加で税金を支払う必要があります。場合によっては過少申告加算税や延滞税が課されることもあります。
税務調査が来たときの対応方法
税務調査は対応次第で結果が大きく変わることがあります。適切に対応するためのポイントをまとめます。
- 事前準備をしっかり行う
帳簿や領収書、請求書などは整理しておき、すぐに提示できる状態にしておきましょう。特に現金出納帳や売上帳簿は重要です。 - 誠実かつ冷静に対応する
質問に対して曖昧な回答をしたり、感情的に反論するのは避けましょう。正直に、わかりやすく説明する姿勢が大切です。 - その場で判断せず税理士に相談する
指摘を受けても即答せず、税理士に確認した上で対応するのが安心です。税理士に立ち会ってもらうことも推奨されます。 - 必要に応じて修正申告を行う
明らかな誤りが見つかった場合は、修正申告を行い、ペナルティを最小限に抑えましょう。
税務調査を避けるための日頃の心がけ
税務調査は完全に避けることはできませんが、日常の経理や申告を正しく行うことでリスクを減らすことは可能です。
- 帳簿を正確に記録する
売上・経費は漏れなく記帳し、証憑書類をきちんと保管することが基本です。 - 適正な経費計上を心がける
プライベートな支出を事業経費に混ぜないよう注意しましょう。 - 税理士に定期的に相談する
専門家のチェックを受けることで、誤りやリスクを未然に防げます。
まとめ
税務調査は不正を暴くためだけのものではなく、適正な申告を確認するための仕組みです。調査対象になりやすいケースには一定の傾向があり、売上の急増や経費の不自然な計上などが挙げられます。もし税務調査が来た場合でも、事前準備を整え、冷静かつ誠実に対応することで大きな問題にはなりにくいものです。
特に税理士の立ち会いは強い味方となり、調査官とのやり取りを円滑に進める助けになります。日頃から正しい帳簿付けと適切な経費処理を心がけ、必要に応じて税理士に相談しておくことが、安心して事業を続けるための最善策といえるでしょう。
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