粉飾決算とは何か?手法とデメリットを把握しておこう
- 2020.03.27
- 税金・法律
「粉飾決算(ふんしょくけっさん)」という言葉をニュース等で耳にしたことがある方は多いかと思います。
企業の不祥事として度々世間を賑わせる粉飾決算ですが、具体的にどのような行為を指すのでしょうか?
ニュースで取り上げられるのは名だたる大企業ばかりですが、小さな個人商店や零細企業であっても粉飾決算は無関係ではありません。
全ての経営者と会計・税務担当者はこの粉飾決算について深く理解しておく必要があります。
今回は粉飾決算とは何かについて詳しく解説していきたいと思います。
粉飾決算とは
粉飾決算とは、不正に会計処理によって事実と異なる決算書を作成し、申告することをいいます。
主に「上場廃止を免れるため」「銀行からの融資を通すため」「株主総会での責任追求や糾弾を避けるため」等といった目的で「本当は赤字決算なのに黒字に見せかける」のが一般的な粉飾決算のケースです。
特に銀行の融資は非常に重要で、多額の資金調達が通れば事業計画の見通しが立てやすくなります。
それによって傾きかけた経営が復活するかもしれません。
そのため、不正(犯罪)だと分かっていても粉飾決算に手を染める企業が後を絶たないのです。
そして粉飾決算の手法には主に「架空取引による売上の過大計上」「利益の水増し」「経費などの計上タイミングの操作」等があります。
過大計上や水増しについては言うまでもありませんが、計上タイミングの操作については「利益の推移が右肩上がりである(成長中である)」という経営状態を示すために、今やるべき経費精算を来期に遅らせるという手法が多く見られます。
意図せず粉飾決算になるケースも
以上のように粉飾決算は会社の経営上の都合で意図的に不正を行なうことをいいますが、中には人的ミス等による意図せぬ粉飾決算が発生してしまうケースもあります。
例えば入社間もない経理担当者が経費処理のルーティンを知らず、今期中に処理するべき精算を来期に持ち越してしまうというケースや、単純な入力・記載のミスで架空取引を発生させてしまったというケースがこれにあたります。
厳密にはこれは粉飾決算とは呼びませんが、「不適切会計」として会社の信用を大きく損ねることになってしまいます。
不適切会計を起こさないために
会社として健全な経営を維持するためには粉飾決算は絶対に避けなければならない問題です。
意図せぬ人的ミスであったとしても到底許されるものではありません。
そのため、日頃から粉飾決算(不適切会計)を未然に防ぐための取り組みを考えておきましょう。
ダブルチェックの徹底
どんなベテランの会計のプロであっても人間である以上ミスはつきもの。
人的ミスを防ぐためには、やはりダブルチェックの徹底が最も簡単かつ効果的といえるでしょう。
もちろん人員や時間に余裕があるのであれば3人体制でのトリプルチェックを検討するのもいいかもしれません。
特に大規模な企業であれば、それだけ扱うデータの量も膨大になり当然ミスの可能性も高くなります。
チェック担当者は多いに越したことはありません。
会計士・税理士のフォロー
会社の規模や取引先の数によっては、自社の経理部だけで全ての会計業務を対応するのは難しい場合があります。
設立間もない小規模な会社であっても、経理・会計担当が経験の浅い人だと知識不足によるミスが起こりえます。
そこで会計士や税理士と顧問契約を結んでおけば、会計処理に際して書類のチェックやフォローを行なってくれます。
また効率的な処理の方法を指南してくれたり、誤った知識を正してくれたり、専門のプロのサポートを受けるメリットは非常に大きいです。
クラウド会計ソフトの導入
粉飾決算(不適切会計)を招く記入ミスは人間だからこそ起こり得るもの。
ならばクラウド会計ソフトを導入することで意図的な不正を防ぐことはもちろんのこと、人的ミスも未然に防ぐことができます。
会計処理のために人員を割いたり給与を支払ったりする必要がなくなり、経営上のコストの削減にもつながるでしょう。
まとめ
今回は粉飾決算とは何かについてお話させていただきました。
粉飾決算は会社として社会的信頼を失墜させる重大な不正行為であり、故意か過失かを問わず絶対に起こしてはならないトラブルです。
刑事罰に問われる場合もあるため、くれぐれも適切かつ健全な会社経営を忘れないようにしましょう!
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