ビジネスで相手の心を掴む話し方・トークスキルを身につけよう

ビジネスで相手の心を掴む話し方・トークスキルを身につけよう

社会人になると客先での営業や社内での会議・プレゼンテーションなど、何かと人前で話す機会が増えるでしょう。
元々口下手で話すことが苦手だという方にとって、ビジネスシーンでのトークというのは一つの大きな課題であり、乗り越えなければならない壁でもあります。

また、喋りが得意だと自負している方であっても、友人知人とのトークとビジネスでのトークは全く勝手が違いますし、上手くいかないことも多いかと思います。

そこで今回は、ビジネスシーンにおける話し方のポイント、身につけておきたいトークスキルについてご紹介したいと思います。

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ビジネスの話し方【基礎編】

社会人としての最低限のマナーを踏まえた話し方友人や家族相手では許される態度・振る舞いも、ビジネスシーンでは大目に見てもらえません。
客先であれ社内であれ責任ある社会人である以上、話し方一つとっても非常にシビアに見られてしまいます。
それは学校を卒業したばかりの新人であっても同じことです。

相手に話を聞き入れてもらうためには大前提としてマナーをしっかり守り、常識ある人間として振る舞わなければならないのです。

そのためにも、まずは社会人として最低限守らなければならない話し方のマナーを知っておきましょう。

相手の目を見る(アイコンタクト)

ビジネス・商談の場で話をする時は、必ず意識して相手の目に視線を配るようにしましょう。

自分の話し方や話す内容に自信がなかったり、緊張していたりすると、無意識のうちに俯いたり視線を逸したりしてしまうものです。
しかし、そのような視線の動き・態度は相手に筒抜けになってしまいます。

「こいつは何か隠しているのではないか?」
「適当に嘘をついて誤魔化そうとしているのか?」

といった風に悪い印象を相手に与えてしまうことも十分に考えられます。
人はその内容に対して真剣に耳を傾けようとは思いません。

かといって相手の目をじっと睨み続ける(凝視する)のは威圧しているように見えて逆効果ですので、話のトーンや内容に合わせて相手の目 → 手元の資料 → 相手の目といった風に適度に視線を切り替えることも重要です。

「目は口ほどにものを言う」という諺(ことわざ)もあるように、相手の目を見ることで伝わる思い・感情もあります。
これをなくしては、どれだけ理路整然と話を組み立てても相手には響かない、ということを覚えておきましょう。

ほどよく相槌や頷きを入れる

対話は言葉のキャッチボールで成立するコミュニケーションです。
相手が長話を続けていたとしても、それを無言で聞くだけではなく「はい」「ええ」「そうですね」「おっしゃる通りです」といった風に、適度に相槌を挟んでボールを投げ返してあげることが重要となります。

また言葉だけではなく、うんうんと小さく頷いたり、表情を変えたり、顎に手を当てたりなどの動作で相手の話に反応している挙動も見せましょう。

逆の立場で、もし自分が話している間ずっと相手が無言で微動だにしなかったら「本当に聞いてくれているんだろうか」と不安になりますよね。
そう相手に感じさせないためにも、相槌や頷きを挟んで相手に安心感を与えることが大事なのです。

かといって過度に相槌を入れすぎると「こいつは聞いてるフリをしてるだけだな」とわざとらしさが感じられたり、話のテンポを乱したりしてしまうので要注意です。

相手の話の腰を折らない

相手の話は最後まで、一区切りがつくまできちんと聞きましょう。

話の中に疑問点があったり間違った点があったりしても、話の途中で口を挟むのはマナー違反となります。
話の腰を折られた相手は気分が悪くなりますし、「これ以上話しても無駄だ」と商談が破却されてしまう恐れもあります。

相手が話している最中はしっかりと「聞き」に徹し、話し終えた後に改めて「さきほど仰っていた〇〇の件ですが~」といった風に質問や提案、弁明などを投げかけるようにしてください。

クッション言葉を活用する

ビジネスシーンにおいて「クッション言葉」は、相手の心象に大きく影響する大事な要素となります。
クッション言葉とは、ストレートに言ってしまうとキツくなりがちな言葉の印象を柔らかくするための前置きのことです。

例えば「これはどういう意味でしょうか?」という質問。
これだけだと、なんとなく相手を責めているようなニュアンスが感じられますよね。

そこで「恐れ入りますが~」という一言を前置きしておくと、途端に優しい感じに聞こえます。これがクッション言葉です。

クッション言葉には以下のような例があります。

質問する時 ・失礼ですが
・大変恐縮ですが
・念の為ご確認なのですが
・お伺いしたい(ご教示頂きたい)のですが
依頼する時 ・恐れ入りますが
・ご多忙の中恐縮ですが
・お手数(ご面倒)をおかけしますが
・ご都合がよろしければ
・差支えがなければ
提案する時 ・もしよろしければ
・お力になれることがあれば
・私共にできることがあれば
・僭越ながら
断る時 ・あいにくですが
・せっかくですが
・申し訳ありませんが
・心苦しいのですが

角が立ちそうな話や気まずい話をする時に、その印象を悪くしないために用いるようにしましょう。

適切な敬語を用いる

ビジネスにおいて正しい敬語を使うことは最低限のマナーです。
単純な「です・ます」だけなら誰でも使いこなせるかと思いますが、尊敬語と謙譲語の使い方は意外とあやふやになっている方も多いかと思います。

例えば尊敬語。
お客様に対して「少し待ってくれますか?」はNGです。「少々お待ちいただけますでしょうか?」が正解です。
上司の伝言を頼まれた時「部長が言っていました。」はNGです。「部長がおっしゃっていました。」が正解です。

そして謙譲語。
客先へのアポイントで「すぐに行きます。」はNGです。「至急、参ります。」が正解です。
お客様から資料をもらい、「見させてもらいました。」はNGです。「拝見させていただきました。」が正解です。

ちなみに、社外の人間と話す時は社内の人間は全て謙譲語の対象となります。
そして社長であっても重役であっても、上司や先輩であっても名前は呼び捨て、もしくは名前+役職名で呼ぶのが基本です。

例えば取引先から「山田様(課長)はいませんか?」と聞かれた時、「山田さんは席を外されております」は間違いです。
正しくは「山田は席を外しております」です。

上司を呼び捨てにすると怒られるんじゃ……、と不安に思う方もいるかもしれませんが、それで怒る上司の方が社会人として非常識なので大丈夫です!

ビジネスの話し方【スキル編】

相手の信頼感を勝ち取り心を掴むための話し方ここまではビジネスシーンにおける話し方の基本マナーをご紹介しました。
この基本をしっかり踏まえておけば客先に出しても恥ずかしくない社会人といえるでしょう。

しかし、商談や会議というのはたくさんのお金と人間が動く場です。やはりプラスアルファのトークスキルが無くてはなかなか通用しません。
重要なのは聞き手に与える信頼感と共感です。
信頼感と共感を与えることで、取引先との商談なら「この人に仕事を任せたい!」、社内会議なら「この案を取り入れたい!」という風に受け入れてもらえるのです。

そこで、次は信頼感と共感を与えるためのビジネストークスキルについてご紹介したいと思います。

声のトーン(音程)は「ソ」の音で

声のトーン、音程の高さは聞き手に与える印象に大きく影響します。
そしてビジネスにおいて最も聞き手に心地よく響く音というのが「ソ」の音だといわれています。

「ソ、って言われてもわかんねーよ!」という方は下記の動画を参考にしてみてください。

男性であれば、おそらく普段の話し声は「ソ」よりもはるかに低い音になっているかと思います。
なので、普段よりも高い声で話すことを心がけてみて下さい。
最初は違和感があって「高すぎるのでは?」「わざとらしくないか?」と不安になるかもしれませんが、意外なほどに相手には好印象に伝わるでしょう。

しかし、ずっと「ソ」の音だと今度はメリハリがなくなり、まるでロボットの話みたいに聞こえてしまいます。
そこで次は「ソ」の音からはじまって、だんだんと音程を下げていくという方法をとりましょう。

例えば「ありがとうございました」と話すときは、最初の「あ」が「ソ」の音で、最後の「た」が「ド」の音といった風になります。
こうすることで、明るい印象と落ち着いた印象の両方を相手に与えられ、抑揚もつくので聞き手を飽きさせることもありません。

相手の言葉を復唱し、身振り手振りを合わせる

これは「共感」を与えるためのテクニックになります。

例えば相手が話している最中に、「こういう形の部品がありまして」と手を動かしてきたら、「こういう形ですか」と同じ動きをします。
相手が笑顔になったらこちらも笑い、相手が神妙な顔になったらこちらも暗い顔をします。

そして、相手の話の中に重要なキーとなる言葉があれば、そこを拾って繰り返しましょう。
例えば「今回の予算は20万円で考えているんです」といわれたら、「20万円ですね!」と復唱する感じです。

このように相手の表情やジェスチャーに自分も合わせ、そして相手の言葉を丁寧に拾って繰り返すことで「真剣に話を聞いてくれている」という安心感に加え、「相手も自分と同じ思いを持っている」という一体感・共感をも与えることができます。

ただし、これもやり過ぎると却って相手を不快にさせてしまう恐れもあるため、相手の様子を伺いながら適度に対応して下さいね。

褒める・労う

褒められたり労われたりして不快に思う人間はいません。
相手の気分がよくなれば、それだけで商談やプレゼンテーションが有利に運ぶのは言うまでもないでしょう。

本題と関係のない部分でもかまいません。些細なことでも相手を褒めて、労ってあげましょう。

例えば

「綺麗なオフィスですね!」
「頂いた資料、非常に分かりやすくて助かりました!」
「以前お電話の担当の方がすごく丁寧で感じが良かったです。」
「〇〇さん(相手の名前)は物腰が柔らかくて、本当に話しやすいんですよ。」
「先日は遅い時間にご対応いただいて、本当にありがとうございました!」

簡単なことのように思えますが、簡単だからこそ忘れがちなことでもあります。
特に商談の場だと本題のことで頭がいっぱいになり、こういったさり気ない言葉をかける余裕がなくなることも多いでしょう。

おまけ:ビジネスに相応しくない言葉遣い

普段何気なく使っている言葉遣いの中には、ビジネスシーンに相応しくないものがたくさんあります。
特別無礼な表現というわけではないものの、相手の心象を損ねてしまう可能性がある、そんな言葉遣いをピックアップしてみました。

NG表現 正しい表現
ちょっと 少々、少し
じゃあ それでは
とても、かなり 大変、非常に
あっち、こっち あちら、こちら
~とか ~や、~など
~みたいな ~のような
ただ今
さっき さきほど
もうすぐ まもなく
後で 後ほど
いいですか よろしいでしょうか
どうですか いかがでしょうか
いいですよ 構いません
そうですよ 左様でございます

相手との距離感や関係性によっては許される表現もありますが、特に学校を卒業したての新入社員の方はフォーマルな場での言葉遣いをしっかり意識し
うっかり日常会話での言葉遣いが出てしまわないように注意してくださいね!

まとめ

社会人として、ビジネスマンとして生きていくためにはトークの基礎とマナーを身に着け、スキルを磨かなければなりません。
今回ご紹介した内容は基本的な部分が大半ですが、意外とベテランの営業マンでも忘れがちな点が多いです。

口下手だと自覚している方はもちろんですが、自分は喋りが上手いと自負している方も決して過信せず、基本から立ち返ってビジネストークを身に着けていきましょう!